日本の天台宗は、今から1200年前の延暦25年(806年)、伝教大師最澄によって開かれた宗派です。
天台宗の起源
お釈迦様の教えはアジア全土に広がり、やがて中国へと伝わりました。多くの僧により、数々の経典が伝えられましたが、その中でも「妙法蓮華経」(『法華経』)という経典に釈尊の「全ての人に悟りの世界を」という考え方がもっとも明確に述べられていました。
この教えに注目し仏教全体の教義を体系付けたのが智顗(ちぎ)です。智顗(538~597年)はその晩年を天台山で過ごし、弟子の養成に努めたことから「天台大師」と諡(おくりな)され、またその教学は天台教学と称されました。これが天台宗の起源であり、智顗を高祖と唱えるのはこのためです。
天台宗の教え
一、全ての人は皆、仏の子供である
(一切衆生悉有仏性:いっさいしゅじょうしつうぶっしょう)
お釈迦様が悟りを開かれたから悟りの世界が存在するのではありません。私たちは生 まれながらに心に悟りの種を持っているのです。このことに気付き、その種をどのように 育てていくのかが大切なのです。
一、悟りに至る方法とは?
仏教には八万四千もの教えがあると言われています。それぞれが別の悟りを得る教えではなく、全ては釈尊と同じ悟りに至る方法の一つでもあります。坐禅や念仏や写経、もっと言えば華道や茶道など方法はさまざまであったとしても、そこに真実を探し求める心(道心)があれば、それがそのまま悟りに至る道なのです。日常の生活にもそれは言えことです。
多くの開祖を輩出した天台宗が日本仏教の母山と言われ、また日本文化の根源と言われるのもこのことからです。
一、一隅を照らす人となる
「一隅(いちぐう)を照らす」という言葉は、伝教大師最澄様が書かれた『山家学生式』(さんげがくしょうしき)の冒頭にあります。
一隅(いちぐう)とは、今、あなたがいるその場所です。あなたが、あなたが置かれている場所や立場で、ベストを尽くして照らす。あなたが光れば、あなたの隣も光ります。家庭や地域、社会が光ります。小さな光が集まって、日本を、世界を、やがて地球を照らします。
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